落語の世界を旅するこのコーナー、
前回に引き続き「鉄道戦国絵巻」です。
今日は目黒線・多摩川線をとりあげます。
東横線の陰謀によって南北に引き裂かれるという悲しい過去を持ちながら、
姉妹で健気に戦う姿は多くの人の胸を打ちました。
目黒線・多摩川線とは
①目蒲線が2000年に分かれた。
②目黒線は目黒~多摩川、6両編成に出世。
③多摩川線は多摩川~蒲田、3両編成のまま。
しかし、久しぶりに見るふたつの路線は違う意味で私の胸を打ったのです。
銀幕の世界に羽ばたき数々の名優と浮名を流す姉・目黒線と、
ボロをまといながらかぼちゃの馬車を夢見る妹・多摩川線。
かつての幸せな日々はもうそこにはありません。
象徴的なのが多摩川駅。
高架の上では目黒線が東横線と肩を並べて疾走します。
一方、多摩川線は座敷牢のような地下ホームにひっそりと佇んでいます。
多摩川線は数々の辛酸をなめさせられます。
まずエスカレーター。
目黒線のホームへは絶えず動き続けるエスカレーター。
多摩川線へのエスカレーターは人がいないと止まります。
右は目黒線へ、左は多摩川線へ。
多摩川線のほうがきれいじゃん。
だまされてはいけません。これは”蒲田色”(池上線の回参照)だ!
そして駅舎自体にも差別が。
駅ですわよ!声高な目黒線の駅舎。
駅ですいません。声低な多摩川線の駅舎。
同じ素材でベンチを作っても出来上がりが違います。
さらに追い討ちをかける悲劇が起こります。
池上線御嶽山駅の雪辱(池上線の回参照)をここで晴らされてしまうのです。
蒲田に近づくと「あ、かぼちゃの馬車が!」
違いました。
観覧車でした。(1回200円、所要時間約3分)
目黒線はものすごい勢いです。
地下化された武蔵小山・西小山のいわゆる東急二大小山では
駅前広場も完成間近です。
しかし地下化という発展で人々の心に芽生えたのは、
なくしたものへの絶ちがたい思いです。
沿線を歩けばあちこちに発露しています。
上昇志向の強い目黒線では時計もプレッシャーをかけてきます。
「早くセコムの似合う家に住めるようになりなさい!」
現代では”セコム”が”うだつ”と同意義で使われているようです。
目黒線と多摩川線。
こんなに素晴らしいコンビがあるでしょうか。
太陽と月、いや月とスッポン。
どちらも愛しています。