みなさんはナクソスを知っていますか?
クラシック音楽中心の一風変わったレコードレーベルです。
その特徴は
①選曲が独特。(埋もれている作曲家を発掘。)
②無名でも実力のある演奏家を起用。
③価格が安い。(最初はここに惹かれて買い始めた。)
といったところが挙げられます。
ですが、私がもっとも愛するのは、
CDの裏に書かれた曲の聴きどころ解説です。
気取りというものを微塵も感じさせず、
易しく、楽しく、時にはツッコミも入れつつ、
「これ聴いてみたい!」と思わせる技術は、もはや神業です。
今日はその一部をご覧下さい。
グローフェ・組曲「グランドキャニオン」
(アメリカ横断ウルトラクイズのテーマ曲も収録)
「アメリカの名匠グローフェによる、とってもわかりやすいネアカ娯楽作を
お届けします。」
のっけからとっつきやすさを強調します。
「題名さえわかれば解説無用、あるいは聴いただけで題名の
見当がついてしまう単純明快さは楽しいことこの上ありません。」
わかりやすさを強調しすぎて、イジリにすら聞こえます。
「特に「豪雨」「瀑布の轟き」「ナイアガラの力」(オススメ!なんと水力発電所音楽です)といったナンバーでの「ここまでやるか!」といいたくなるような徹底したスペクタクルぶりは、快感の領域に達しています。」
たしかにタイトルが能天気です。
どうです、聴きたくなったでしょう。
ここで、他のレーベルと比較してみましょう。
ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第一番」(ドイツ、山田耕筰の師匠)
あるレーベル
「いきなり流れ出すヴァイオリンの甲高く、しかし朗々とした響きのふくらみ、
完璧なトリルとオクターブを駆け巡る音程の決まり具合は圧巻。
濃厚なロマン漂うこの曲にあっさり対して楽曲の深みを十全に引き出した
この演奏は、きくたび感動で鳥肌が立つ超名演。」
ナクソス
「小難しい理屈はどこかにふっ飛ばし、
感傷的かつカッコいいメロディーはてんこ盛り。
独奏ヴァイオリンも、オーケストラもパワー全開で煽りに煽ります。
テクニシャンのフェドートフはこうした楽曲の持ち味をストレートに引き出し、
快刀乱麻の大活躍を見せ付けます。」
恐らく、言いたいことは同じなんだろうと思います。
これ以外にも、小ネタがキラ星のごとくちりばめられています。
「冒頭は地味ですが、飛ばさないでください。」
(クレストン・交響曲第二番)
「1トラック60分越えというのも、聞き手にとって試練ですが、」
(ジェフスキ・不屈の民変奏曲)
「やっぱりアメリカは強い!」(タワー・メイドインアメリカ)
「心臓に悪い一曲ですので、十分に覚悟を決めてお聴きになられて下さい。」
(ペンデレツキ・広島の犠牲者に捧げる哀歌)
まさにクラシック界の休憩室。
ナクソスよ、永遠なれ!
※ナクソスのまわしものではありません。